【思い出の装丁_98】でございます。
今日は一気に肌寒いですね….ロウタイニコタエル
 
 
さて、今回の本は、
日経新聞連載の「私の履歴書」を書籍化した本群となります。
 
 
・私の履歴書 事実は真実の敵なり 野依良治 2011年 日本経済新聞出版社刊
・私の履歴書 森喜朗回顧録 森喜朗 2013年 日本経済新聞出版社刊
・私の履歴書 見る前に跳んだ 倉本聰 2016年 日本経済新聞出版社刊
・私の履歴書 改革は実行 松本紘 2016年 日本経済新聞出版社刊
・私の履歴書 ストックホルムへの廻り道 大村智 2017年 日本経済新聞出版社刊

 
 
などでございます。
すべて四六判、上製造本。
 
●こちらも『私の履歴書』本の記事_2018年
●こちらも『私の履歴書』本の記事_2019年
●こちらも『私の履歴書』本の記事_2021年
 
日本経済新聞出版様との装丁仕事_1
日本経済新聞出版様との装丁仕事_2
 
 
著者名をご覧になると分かりますが、
元総理大臣からノーベル賞受賞者まで…錚々たる方々で
最初のご依頼をいただいたときにはピリッと緊張したのを覚えております。
編集担当はK様です(事実は〜のみ、担当・I様)。
 
 
政治家関係の装丁仕事_1
政治家関係の装丁仕事_2
政治家関係の装丁仕事_3
 
 
こちら「私の履歴書」本は、ボクが20代の頃
「将来、デザインできたらいいなぁ」と夢見ていた事のひとつでした。
若者にしては、若干渋い願いだったかもしれませんが、
当時の自分の中ではきっとステイタスだったのですね。
 

 
 
日本経済新聞出版様との装丁仕事_3
日本経済新聞出版様との装丁仕事_4
日本経済新聞出版様との装丁仕事_5
 
 
装丁に関して、印象に残っているのはまず『見る前に跳んだ』です。
倉本聰先生の描かれた点描画を装丁に使用させていただいております。
自作絵というところがまず驚いたのと、
実に緻密な絵で、見入っているうちに吸い込まれそうな感覚に陥ります。
シルエットで人物が浮かんできますが、おそらくは自画像という側面も
あるのかなと想像しておりました。
 
 
また『ストックホルムへの廻り道』の装丁には
画家・片岡球子先生の富士山画を配置しています。
これは大村智先生のご希望だったのですが
ボク自身、個人的に思い入れのある画家だったのもあり
センターにドン!とその力強い富士山画を置かせていただきました。
 
 
●美術展ポスター仕事の記事_1
●美術展ポスター仕事の記事_2
 
 

 
 
そして『事実は真実の敵なり』の装丁ですが、
カバー全面には著者・野依良治先生のご子息、野依幸治先生(美術作家)
作品を配置させていただいております。
幸治先生と直接やりとりをさせていただきキャンバスに繊細に描かれた
モノトーンの幾何学図を、題字等とコラージュしていくように慎重に
デザインさせていただきました。
 
 
また、編集者・K様は、基本的に当方にデザインお任せの方で、
その分、こちらも緊張感に包まれます。
特に著名な方が著者の「私の履歴書」なので
良い意味で二重のプレッシャーなのです。
 
 

 
 
話は戻りまして、上に「夢だった」と書きましたが、
当初ご依頼をいただいた時は、
公私ともに慌ただしく余裕がなかったせいもあり
そのことをすっかり忘れていたのです…。
 
デザインを進めていく中で
「あれっ、そういえば!若い頃に!」と思い出したのですね。
いつの間にか叶っていた。というヤツです。
 
 
日本経済新聞出版様との装丁仕事_6
日本経済新聞出版様との装丁仕事_7
日本経済新聞出版様との装丁仕事_8
 
 
しかし、なぜ夢だったのか…
『私の履歴書』に掲載されるような人になりたかった….
というのは冗談ですが、
政治家、研究者、事業家、作家など、一意専心でその分野で邁進してこられ
功績を上げられた生き方にこそ憧れていたのかもしれません。
またその書籍をデザインさせていくことで自分自身とその方達の人生を
少しでも重ね合わせようとしてたのかなと思います。